時は現代、我々は四国を目指すべく新名神を西へと走っていました。
久々のツーリングでしたのでメンバー全員がノリノリ♪だったのですが、目的地は四国方面としか決まって おらず、いつもどおり「テンションは高く計画性は低く」の状態でした。
決してわざとそうしているのではなく、自然とそうなってしまうのですが!
しばらく走り、トンネルをぬけて視界がパーっと明るくなったかと思うと、そこは明石海峡大橋でした。
我々は15年前にここへ来て、まだこの橋ができる前だったのでフェリーで淡路島まで渡ったことがあり ました。そんな思い出もあったので、Allwayは走りながらバッグから携帯を取り出し、写メを撮りました。
そして後でNuZに写真を見せながらその話をすると、「お前、いつか事故るぞ」と言われ、Allwayは「NuZも ヤキがまわったな〜」と思いました。
黄砂の中、淡路サービスエリアで玉ねぎマンなどを食べながら、目的地を室戸岬と定めました。
我々のツーリング史上で淡路島は2回目なのですが、前回も今回も淡路島はスルーし、徳島で
徳島ラーメンを食べました。
するとどうでしょう。混雑している店内の人ごみの中から、「これどうぞ」と無料替え玉券をNuZに差し出す マダムが現れ、すぐにどこかへ消えて行きました。その姿は意中の人にラブレターを渡す少女のよう でした。さすがは我らのリーダーイケメンNuZ!徳島でもモテモテです。
そうこうしていると雨が降ってきました。もともと無茶な距離だったのに加えて雨が降ってきたということも あり、我々は室戸岬をあきらめました。
一応、AllwayはNuZから「ここまで来てホンマにええんか?」と聞かれましたが、「そんなとこどうせ漁港しか ないやろ!」と、美波町日和佐の観光案内所で宿を探すことにしました。
ゴールデンウィークのど真ん中の夕方。ここから宿を探すのは至難の技です。さらにNuZから宿取り担当 のAllwayに、ある程度ビッとした旅館かホテルにしろとのオーダーが入りました。
Allwayは「しょぼい所しかなかった場合、新天地を求めて前進するか、安全策で徳島市内に引き返すかの 2択だ」と解釈し、観光案内所に入りました。
するとやはり聞くからに汚なそうな宿しか空いておらず、これではNuZの要望を満たすことはできないと 思い、2軒空いておりAllwayに優先権があったのですが、Allwayは何かから逃れて来たような汚れた夫婦 と、精神未熟そうな一人旅モンに宿泊権を譲りました。
「前進しかない!」と考えたAllwayは案内所を出てNuZに状況を報告すると、NuZはすごく理数系な考察で返答してきました。
「前進して新天地が見つかる可能性はゼロに近い」ことと、「徳島市内に戻ってもビジネスホテルやサウナ などにしか泊まれない」ことと、「それなら移動せずこの地に泊まったほうが無駄がなく、翌日動きやすい」 ことです。
しかしAllwayはすでにラスト2軒の宿を他人に譲っており、「この地に泊まる」選択肢を失った我々は 初心に帰り、タウンページを手にしました。この悪状況がとても楽しかったです。
そしてAllwayは巧みな話術で20Kmほど離れた蒲生田岬に宿を確保することに成功しました。
しかし食事は出せないと言われ、地図には道も載っていないような所だったので、NuZは食料を持参で 行こうと提案しましたが、Allwayはそんな無粋なことはしたくないと反対しました。
たどり着いた民宿「あたらしや」のお母さんはとても慈悲深く、計略を考えていたAllwayが無粋でした。
建物も美しく清潔で、世界に誇れます。
風呂は近くの温泉施設でしっかりと入り、ビールをきゅーっとやってお母さんの手料理を頂き、「これが AllwayZの活動理念やな」という時間が流れました。
翌日!それはそれは気持ちのよい朝でした♪田んぼの水面に映る山を見て、声は風となりました。
蒲生田岬をうろちょろしていたら、NuZが「モンサンミシェルや!」と叫ぶので、見るとまさしく モンサンミシェルでした。蒲生田岬、ええとこです。
さて我々は帰ることにしました。
フェリーありきの我々は、今回も徳島から和歌山までフェリーで行くことにしました。休みながら距離を 稼げる夢の乗り物です。
和歌山に着き、夢は終わりました。まさかここから一変して苦行が始まるとは、この時点では誰も気付きませんでした。
13時に和歌山港に着き、我々は地図も見ずに帰り道をルーティングし始めました。
この場合、国道370号を行くのがセオリーなのですが、370号は渋滞するとの理由から、我々は国道425号 を行くことにしました。これは、180Km以上遠回りをする、ハンニバルばりのルーティングでした!
平成のハンニバル達は黄砂と排ガスで呼吸器系をやられ、関節っちゅう関節をイワしながら、真っ暗な峠をいくつも越えて、11時間後のテッペンに司令部へ帰還しました。