8話の続きです。
 むつ市には19時くらいに着きました。宿はビジネスホテルをちょっとビッとさせたような
ホテルしか空いてなかったので、食事は外でとりました。

 気さくな通行人におすすめの居酒屋を教えてもらい、我々はむつの酒、肴を堪能しました。
 ちなみに教えてもらった居酒屋は別にどおっちゅうことないチェーン店でしたし、料理も確実に
B級グルメでしたが、先程の口論が効いてか、我々は腹をわっていろんなお話をし、笑いあり、
熱い語りありの、素敵な時間を過ごしました。

 ところでなぜ恐山かと言うと、Allwayが亡き祖母にもう一度会いたい!と思い、
じゃあイタコんとこ行くっかねーな!てなことで我々はむつ市まで来たのです。
 ですから我々は食後、イタコ関係の情報収集をかねて飲み屋に向かいました。

 我々はスナックみたいなチャンネーのいる店に入りました。
 むつの子は純粋無垢でしゃべり方がかわいく、とても楽しかったです。しかし肝心のイタコの
情報を聞いて、我々はショックを受けました。

「この時期イタコはいねぇよ?」

 恐山に行けばイタコは常にいるものだと思っていたら、7月と10月にちょろっといるだけの、
超なーなー出勤だったのです。さらに「津軽弁がきつくて聞き取れねぇと思うよ?」など、
無垢ゆえのネガティブ発言多発でした。
 しかし我々がイタコに会えないと分かると、親身になっていろいろ考えてくれて、イタコが
ダメなら神様だ!
ということで、「キムラの神さん」の電話番号を教えてもらい、さらに簡単な
地図も書いてくれました。

 翌朝、我々はまずキムラの神さんに電話しました。そしたら、チャンネー達からも忠告を
受けていたのですが、ものすごく横柄な対応で神さん本人が電話に出ました。横柄というか漁師か
土建屋のおっさんのようなイカツささえありました。
 ちなみにこの人、実は超有名人で、先日テレビにも出ていました。

 結局キムラの神さんにも「今日は無理」と言われ、今回のツーリングではその方面の人達とは
ふれあえないことを自覚しました。
 ちょっと残念でしたが、もちろんイタコがいようがいまいが恐山には行くつもりでしたので、
我々は恐山に行きました。

 やはり恐山は神聖な感じがしました。そして我々は、美しくて威厳のある立派な門をくぐり、
左前方をチラッと見たら、普通〜にイタコが口寄せをしていました。

「え、ええ〜!こんなあっさり〜!?」

 我々は感激や驚きよりも先に、まず笑いが来ました。
 そして先客がいたのでしばらく待った後、Allwayが念願の祖母との再会をする為にイタコの
前に座りました。
 まず名前、年齢、祖母の名前など聞かれ、直後にイタコさんは「う〜〜ん!」と言って、
念仏のようなものを唱え始めました。そして念仏と「うーん」の間に、「結婚はしてるの?」
とか「おばあちゃんはいつ亡くなったの?」とか、ちょいちょい質問をはさんできました。
 普段のAllwayなら確実にチャカしてるところですが、マジでおばあちゃんに会いたかったので、
だんだんイタコさんがおばあちゃんに見えてきました。

 しかし次の瞬間、Allwayは一気に興ざめしました。
 イタコさんが何やらむにゃむにゃ言っているのをよく聞くと、Allwayが順番待ちをしていた
時に聞いた話、つまり先客に話していたのと全く同じ話だったのです。

「つ、使い回しかよ!」

 Allwayは声には出さずに思いっきりツッコミました。
 そして、こうなったら写メ撮ってやろう!と携帯を出し、写メを撮ろうとした瞬間、
さっきまで目を閉じていたイタコがクワッ!と目を開き、口寄せは終了しました。

 この後Allwayはもう一度おばあちゃんのことを思いながら境内を観て回り、我々は恐山を後にしました。


   




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