させて頂きます。
我々がまだ自転車のことを「単車」と呼んでいた頃のある日、そろそろモノホンの単車に乗ってみたくなり、 NuZがある企画を提案しました。
以前から考えていたのかその場で思いついたのか、その企画とは、「NuZのおじいちゃん所有の
HONDA super CUB 90 を勝手に乗り回してしまおう!」というものでした。
その日の深夜、NuZとAllwayはNuZのおじいちゃん宅のガレージに行き、鍵を見つけ出して、そ〜っとカブ を持ち出しました。その姿は確実に盗人でした。
我々は早速、おじいちゃん宅から少し離れた路上でカブのエンジンをかけようとしました。
しかし当時の季節は寒い冬だったので、エンジンが冷えていてなかなかかかりませんでした。
勢いよく何度もキックペダルを踏みましたがエンジンはかからず、多少罪悪感もあったので、我々は
乗るのをあきらめようとしましたが、我々は特攻の拓から得た知識でこう言いました。
二人はギアをニュートラルに入れて押しがけをすると、エンジンから今にもかかりそうな音がして、3回目 くらいでブルルンッ!とエンジンがかかり、後には退けない状況になりました!
さらに奇跡なのか、ただの計画性のなさからなのか、雪が降り始めて我々は一気にテンションが上がり
ました!
しかしこれからカブを乗り回すにしても、若さゆえにリスクがあることを忘れてはいけません。
我々はポリス対策として、若者らしくない格好をして、首元から鼻が隠れるまでマフラーをぐるぐる巻き にして、二人寄り添うようにしてカブに乗りました。
そうすることで、老夫婦に見せかけようとしたのです!
今思うと、こんな時間に老夫婦が単車に乗っているという設定もおかしいのですが。
そしていよいよ、NuZが運転、Allwayがケツで我々は町へ出ました。
初めて自分達で単車を運転し、我々は有頂天になって歓喜の声をあげました。
しばらく走るとコンビニにヤンキーがたまっていました。それを確認したNuZが減速するので、Allwayが 「何するの?」と思った瞬間、NuZはギアをニュートラルに入れ、
と、いきなり空ブカシをし始めたのです!
コンビニを通過し、ゴキゲンのNuZはAllwayに、「ひゃっはー!もっ回(もう一回)行くぅ!?」と聞き
ましたが、カブにはクラッチがなく、いちいちニュートラルに入れて空ブカシをする姿は自虐的過ぎるし、
何より我々は老夫婦という設定なのでやめときました。
ですがやはり、こういう夜は次々にドラマが生まれるものです。
さらにしばらく走ると「プスンプスン・・」とエンジンが停まりました。ガス欠です。
初めてエンジン付きの乗り物を運転した我々でしたが、自分達なりにいろいろ調べてガス欠だと気付き、 辺りを見回すと、周りは田んぼだらけでガソリンスタンドもなく、さらに雪も強くなってきていました。
我々は群れからはぐれた子羊のようになっていました。するとその子羊を狙って、狼がやって来ました! 軽自動車にタコ詰めになって、熱気をムンムンさせているヤンキー達が近づいて来たのです!
我々は危機を感じましたが、恐る恐る事情を説明すると、
ってことで、そのヤンキー達は雪の中ガソリンを買って来てくれて、料金も適正価格を支払いました。
見た目はヤンキーでしたが、実はとてもいい人達だったのです。しかし別れ際はヤンキーらしく、
と捨てぜりふを吐いて去って行きました。
給油をして長大な走行可能距離を獲得した老夫婦に扮する我々ですが、この時結構遠くまで来てしまって いたので帰ることにしました。
途中、上ったらすぐ下る感じの、丘状の坂道にさしかかりました。
ここでAllwayに運転を代わったのですが、Allwayは見事に上りと下りで1回ずつこけてしまい、二人して
足腰を強打する、などというハプニングなんかもありました。
この日を境に我々は単車の魅力に惹きこまれ、「単車乗り」となったのです。
これが「since super CUB 90」の示す意味です。
また、この後何度もカブを無断で乗り回し、見つかって怒られたことは言うまでもありません。