ある年の夏、Allwayは結構大事な用事があったのでレンタカーで東京へ向かっていました。
 すると東名高速の浜松インターを過ぎた辺りでNuZから電話がかかってきました。

「今から遊びに行くわ!」

 当時浜松市に住んでいたAllwayの所まで遊びに来ると言うのです。Allwayも何もない普段ならうれしい
ところなのですが、何せ結構大事な用事で東京へ向かっている最中だったので、丁重にお断りしようと
しましたが、問答無用でした。
 NuZの運転する車の助手席には仕事を休まされたMaternityが同乗しており、2人は既に津から名古屋 まで来ていました。
 Allwayは瞬時に状況を理解し、「我こそが1番ノリがいい」と言わんばかりに結構大事な用事を後日に延期 して、富士山へ行くことを提案しました。

 約1時間後、我々は東名高速のどこだったかのサービスエリアで合流し、富士山へ向かいました。
実はこの時、久しぶりに3人そろったので我々はノリノリでした。

 正午過ぎに山中湖に到着した我々は、湖畔のバンガローに宿を確保し、食事をして酒も飲みました。
ほろ酔い状態の我々は、なぜか先に布団を敷いておくことにし、各々布団を敷き始めました。
 そしてMaternityが布団にてんとう虫みたいな変な虫が付いているの発見し、

「なんじゃこの虫!」

 と、思いっきり「ふー!」と息を吹きかけて吹き飛ばそうとしましたが、虫はビクともせず、逆にMaternity が咳き込んで、目を白黒させて転げていました。

 バンガローのチェックと寝床の整頓を終えた我々は、山中湖を観に行きました。
 スワンボートに乗ったりお土産を買ったりした我々は、次に「魚釣り」をすることにしました。
 貸しボート屋で釣竿も借りれたのです。我々は貸しボート屋の若い兄ちゃんに金を払い、各々釣竿を
借りて山中湖に糸を垂れました。

 我々は桟橋に腰掛けて、足をぶらりと湖へ投げ出す格好で酒を飲みながら釣っていました。
 テンションの高さゆえにちょっと周りに威圧感を与えてしまっていたかも知れません。でかい態度と声で
ワイワイやっていました。

 そのうち酔いが回って、Allwayが釣竿を持ったまま、ごろりと仰向けに寝てしまいました。季節は真夏 でしたが、富士山周辺は涼しいのでAllwayはとても気持ちよさそうに昼寝をしていました。

 ・・数時間後、Allwayは「金縛り」にあったような違和感を感じ、目を覚ましました!
 Allwayは体が言うことを聞かなかったので、目だけを動かして周りを見ました。すると、貸しボート屋の 兄ちゃんが腹を抱えて笑っているのが逆さに映りました。

「うう・・(何やねん・・ちくしょう・・)」

 NuZとMaternityも爆笑しながらAllwayを見て「大丈夫か?」などと言っていました。
 Allwayは寝ている間に何かいたずらでもされたのかな?と思いましたがそうではなく、夕方の山中湖は
真夏でも肌寒いくらいに涼しく、酒を飲んで寝ていたAllwayの体温を容赦なく奪い、Allwayは完っ全 に血の気が引いて青ざめていたのです!


 AllwayはNuZとMaternityに肩を借りて、ほとんど四つんばいでバンガローへ帰りました。
 さっきまで威勢がよかったのに虫の息になり、そこが貸しボート屋の兄ちゃんにウケたのでしょう。
貸しボート屋の兄ちゃんは、ずっと笑っていました。